2016年5月27日金曜日

上告理由書の主な内容について



2015年12月21日、福岡高等裁判所で、安永健太さん死亡裁判の判決が下りました。

控訴棄却、敗訴判決でした。

健太さんのご遺族と弁護団は、最高裁判所で争うことにしました。

最高裁判所に対しては、福岡高等裁判所の判決はなぜおかしいのかという文書を提出しました。

安永訴訟弁護団がおかしいと指摘した点は次のとおりです。





■精神錯乱者として簡単に保護されてしまう。
 知的障害や精神障害のある人が普通に暮らしているだけで
 警察官に取り押さえられてしまい、日常生活を送ることができなくなる。

■精神錯乱者として保護する場合には、
 保護する相手がどこに住む誰で、どういう対応をするべきなのか、
 確認が必要なはずなのに、判決は確認が不要だとしているのはおかしい。

■健太さんの持ち物を調べていれば、
 簡単に障害者手帳や健太さんが働いていた
 授産施設のパンフレットなどを見つけることができ、
 健太さんに知的障害があるということがわかったはず。

■警察官が、健太さんに知的障害があるということを知らなかったことについて、
 その良し悪しを検討していない。

■警察官が、健太さんに知的障害などがあったことに対して配慮をしなかった。
 そのために健太さんは亡くなってしまったのに、このことを考慮していない。
 障害者差別にもつながりかねない。

■障害があるために警察官から不利益に取り扱われてはならない。

■判決では、対応している相手に知的障害などがあるかもしれない場合には、
 警察官はゆっくりと穏やかに話しかけて近くで見守るなど、
 特性に応じた対応をすべき義務があるとしている。
 しかし一方で、薬物中毒など、他の原因によらないことがある程度確実でなければ、
 ゆっくり穏やかに話しかけて近くで見守るなどの義務はないとしている。
  「あれ、この人はコミュニケーションができにくいのかな」と気づいたら、
 ゆっくりと話しかけるなどの対応を取るべき。

 判決に書いてあるように、精神錯乱状態を発生させる様々な原因の全てについて、
 これには当たらない、あれにも当たらない、とある程度確実にいえる場合でないと
 適切に対応しなくていいということにしてしまうと、
 適切に対応すべき場合はなくなってしまう。

■警察官は、取り押さえの途中でも、
 健太さんの顔色などを見て、体調が悪くなっていないかを確認できたのにしていない。