2015年3月11日水曜日

長崎で学習会を開催

長崎より安永裁判支援に関する学習会が行なわれ、
その報告をいただきました。


 写真入り報告


以下、テキストに起こしましたのでお読みください。

なかでも、この事件と障害のある人の暮らしの関係を
端的に表現している閉会のあいさつは必読です。


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去る2月22日(日)13:30~、
諫早市の小栗ふれあい会館で

もっと知ろう もっと学ぼう 障がいのある人のことを
~安永健太さん死亡事件が教えてくれること~

を開催しました。

昨年8月に続き2回目の学習会でした。

今回は2014年4月から長崎県で施行されている
「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例
(長崎県障害者差別禁止条例)」
からこの事件を考えるという視点も加えて開催しました。

4月20日の裁判の前に、市民の関心を高め、
支援の輪を広げていこうという趣旨のもとでの開催であったため、
準備期間も短かかったのですが、
当日は会場が一杯になるほどの参加(95名)がありました。

参加いただいた方々は、
長崎県の条例作成に関わった障害者団体の方々や
諫早市内の障害団体関係者、
諫早市議会議員、障害児教育関係者などで、
前回の学習会より支援の輪が広がってきたことを実感できる参加状況でした。

第1部 安永健太さん死亡事の背景と裁判にのぞむもの

まずは安永健太さんのお父さんと弟さんから、
思い出話も交えながら、
これまでの経過と今後の期待について話していただきました。

お二人からは、
二度と同じような事件が起きないためにも
この裁判に負けるわけにはいかないという、
強い思いとともに、
この裁判を続けていくにあたっての支援者への感謝の言葉が述べられました。

また、全国弁護団長の河西弁護士より、
昨年2月の佐賀地裁の判決が
知的障がい者に対する基本的な知識の欠如によるもので、
知的障がい者一般を危険人物とみなす偏見を持ったものであったことが
強い口調で述べられました。

ただし、12月の福岡高裁での裁判では、
被控訴人に釈明を求めた点や、この事件の当事者である警察官に
証人尋問を行うことを採用した点など、
少し明るい光が見えてきたことが伝えられました。

しかしこれは勝訴するための必要条件ではあるが、
十分条件ではなく、まだまだ気を緩めることができるものではなく、
そのためにも今後も学習会や要望書、募金などの
継続した取り組みをお願いしたいという報告と呼びかけがありました。

安永健太さん死亡事件を考える会福岡事務局の古賀さんからは、
これまでの取り組みを通して、障害のある人の人権と合わせて、
障害のある人への理解が遅れていることを実感したが、
昨年2月の判決は、障害のあることそのものが問題である
とされてしまうようなものであり、決して許されるものではなく、
これをきっかけに全国の障害団体が立ち上がり、
支援の輪が障害団体だけではなく市民や著名人にも広がってきたこと、
また、新聞の意見広告や裁判所への要望書提出など、
市民の関心が今の裁判を少し動かしつつあることの報告とともに、
3月25日の学習会への参加と
4月20日の第3回期日への傍聴の呼びかけがありました。


第2部 「障害のある人もない人も共に生きる
  平和な長崎県づくり条例(長崎県障害者差別禁止条例)」
  からみた安永健太さん死亡事件

この条例の制定委員の一人である、
長崎県手をつなぐ育成会会長より、
条例の解説と、この条例から見た
安永健太さん死亡事件についてお話しいただきました。

昨年8月23日に長崎で開いたつどいのアピールの、
「誰もが安心して暮らせることを願った条例・・・
条例を形だけではなく、命あるものにしていく」
というフレーズをはじめに採り上げられ、

20の障害団体(現:長崎障害フォーラム)で作り上げた
この条例を広く県民に伝え、地域の中で
安心して暮らしていける長崎にしていくためには、
まず当事者の皆さんが理解し、
県民に訴えていける力をつけることが必要であり、
安永健太さんの事件に対する運動は、
障害のある人の権利を守るための取り組みであり、
多くの障害団体にとっても勇気をもらっており、
私たちもこの活動に今後も参加し、
共生社会の実現に向けて協力していきましょう

という、心強いお話を伺うことができました。

甲田会長の話を聞いて、参加者の中からも、

お互いに協力し合いながら
誰もが安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指して、
頑張っていきましょう

という発言が多数ありました。

最後に、
長崎県精神障害者地域活動支援連絡協議会顧問から、

「精神障害のあるなかま達が町に出て、
精神錯乱という理由で取り押さえられるようなことがあれば、
精神障害のあるなかま達は地域で暮らすことができない。
彼らを支援している我々は、大切ななかまを守ることができない。
障害者自立支援法や障害者総合支援法では
障害のあるなかまが地域で暮らすことが前提とされている。
しかしこれまでの判決は、これらの法に全く背を向けるものであり、
今日をきっかけに私たちはステップアップしていきたい。
障害があるからと言って人権が軽くみられるような社会ではいけない。
ひとりひとりの人権も命もその重さは同じである。
これからも声を上げ、力を合わせて取り組んでいくことを約束します。」

という、熱く胸を打つ力強い挨拶を頂き閉会しました。

なお、会場内では当日参加できなかったなかまの思いとして、
なかまが作っているお菓子の販売が行われ、
その売り上げはすべて募金としていただきました。

これからも引き続きこの事件と裁判に関する学習会を行い、
要望書や募金の取り組みも継続させ、
障害のあるなかまをはじめ
誰もが安心して暮らすことができる社会づくりに取り組んでいきましょう。

次回期日は4月20日(月)14:30~です。たくさんの方の傍聴をお願いします。

(安永健太さん死亡事件を考える会長崎事務局)